都市農業ビジネス考察7『稼げない理由⑤コミュニケーション不足』

今回は稼げない理由の5つ目です。

 

今回も前提として

・農家さんへの批判が目的ではありません

・強調するために少し失礼な言い方かもしれません

・すべての農家さんに当てはまるわけではありません

 

どうぞご了承ください。

 

5番目の理由ですが、それは

コミュニケーション不足

になります。

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今回は今までの

1~4のまとめ的な部分になります。

 

逆を言えば

このコミュニケーション不足が

解消できれば

ある意味では1~4の解決が

よりスムーズになります^^

 

コミュニケーションを推奨することは

主に2点の理由によります

 

①直接販売で相手のニーズを満たすため

②協力者やファンを増やすため

 

それぞれ説明します。

 

①直接販売で相手のニーズを満たすため

 

稼げない理由②で

「他者に販売をゆだねている」

でもお話をしたとおり

自ら、直接販売にも力を入れることを

お伝えしました。

コミュニケーションをとることで

相手のニーズを知り

それに応じた価値を消費者に伝える

ことが可能となり

付加価値をつけて

販売する力がつくようになります。

 

結果として

稼げない理由③の

「自分のこだわりのものを作っている」

稼げない理由④の

「生産に集中しすぎている」

という点も解消できるようになります。

 

とはいえ、この場合のコミュニケーションは

直接、消費者と話すというよりも

メールやSNS、HPでのネットのやりとりが多くなります。

 

今や時代が変わり

インターネットを通して

コミュニケーションができれば

全国、世界、どこにでも

農作物を送る事は可能となりました。

 

今回、登壇者の西田さんの野菜も

沖縄から注文から頂いています。

 

②協力者やファンを増やすため

 

この点に関しては

都市農業だからこそ

できる方法かと思います。

 

考察2で伝えたとおり

都市農業の少ないメリットとして

 

人口が多いこと

 

があります。

 

消費者が多いことは当然のことですが

一緒に手伝ってくれる

援農なのでサポーターが多いのが

実は最大のメリットと考えます。

 

都市に住む人達には

自然や緑に触れることは比較的少なく

農業を無償で取り込んでくれる市民がいます。

また大学のゼミの社会活動の一環として

単位を与えて援農をするところもあります。

 

3.11の地震以降から

経済や社会のあり方の考え方が変わり

より実質経済に近い農業や

つながりを大事にする地域コミュニティ

に関わる活動が増えてきました。

 

 

その流れと都市農業の営みは

大きな親和性があります。

 

そのため、都市で農業を営む人たちは

積極的に地域の人たちとの交流し

一緒に生産活動することも

ひとつの手だと思います。

 

事例として

東京で、ある新規就農者の方がいます。

その方は、地域の人たちとの交流を重ね

多くの援農を常に受け入れています。

一般的な農家さんと違い

いかに協力者の人たちに楽しんでもらうか考え

採れたての野菜をおすそ分けすることで

毎年1000人(重複あり)近い人が

その方の畑を訪れるようにもなっています。

 

こういった事例は稀有な方ですが

地域の人たちと交流することで

また新しい都市農業のモデルを

生み出すことが可能だと感じています。

 

私たち畑会でも

消費者の方たちと交流することで

新しい都市農業の形を模索しています。

 

【結論】

既存の農家のイメージである

職人気質のあり方よりも

直接、コミュニケーションをとり

地域の人たちに開かれた

農家を目指す事の方が

都市農業ビジネスにおいては

メリットが大きい。

 

以上が

都市農業で稼げない5つの理由でした!

 

次回からは

稼げなかった原因とは逆に

どうしたら稼げるようになるかを

『都市農業で稼ぐための5つの思考』と題し

数字的な観点から探求してみます!

 

今まで読んでいただき

ありがとうございます!^^

 

やっと半分です 笑

都市農業ビジネス考察6『稼げない理由④生産に集中しすぎている』

今回は稼げない理由の4つ目です。

 

今回も前提として

・農家さんへの批判が目的ではありません

・強調するために少し失礼な言い方かもしれません

・すべての農家さんに当てはまるわけではありません

 

どうぞご了承ください。

 

4番目の理由ですが、それは

 『生産に集中しすぎている』

 です。

 

今までいろんな農家さんの話を聞きながら

余計なお世話で

たまに「こうしたらどうですか?」

みたいなアドバイスをすることがあります。

そんな時に

でてくる答えのひとつに

 

「そんな余裕はないですね」

 

と言われることがあります。

これは正直

私の伝え方やニーズや環境に

沿っていない状態での

アドバイスがゆえに

言われることもあります(汗)

 

しかし、農家側の環境そのものにも

最近は疑問を感じるようになりました。

 

多くの現場に関わらせていただき

作業の過酷さや厳しさに

お気持ちも分かるところがあります。

 

くたくたになってしまった状態で

机に向かってパソコンに

事務的な仕事をすることさえ

ままならない中で

今後の戦略や新しいことや

業務改善にまで

時間を割くというのは

なかなか難しいものがあります。

 

しかし、その環境そのものを

もう一度見直しする必要があると思っています。

 

まず目的を確認する必要があります。

 

農業ビジネスの目的は

売上をあげるのではなく

利益をあげることです。

もう少し踏み込むならば

利益率をあげるとも言えます。

 

理由1~3から

一貫して稼げない原因としてあるのは

利益率が低いことにあります。

地方の大規模農業と

同じ販売方法をしている時点で

生産量の少ない都市農業は

稼ぐことに限界があります。

結果として

「骨折り損のくたびれ儲け」

になってしまいます。

 

であれば、ここで思いっきって

やり方を変えていくことを提案します。

 

農家ではない私が言うのも

どうかと思いますが

経営的な数字の観点から

言わせていただきます。

 

私が思うに

思い切って生産量や畑の耕地面積を減らすことです。

減らすことで販売や戦略にかける割合を増やし

利益率を高めることを

最優先にすべきです。

  

勿論、畑を耕作放棄地にできないので

負担の少ない麦や手入れの少ない種類の果樹を植えることや

緑肥などをして休耕地にする必要はあると思います。

 

以前、紹介させていただいた

時給3000円の生産性で

農業を営んでいる

杉山経昌さんの場合

仕事の割合が

経営管理マーケティング:生産

4:4:2

という驚くべき割合でした。

 

もちろん、杉山さんの特性として

果樹であることや観光農園という

やり方だからとも言えますが

生産に特化することだけが

利益率の最大化にならないことの

証拠にもなるかと思います。

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また別の観点からいえば

利益率の高いビジネスモデルが

構築できれば、人を雇い

農地を拡大することも可能になります。

  

この点の具体的な考え方についても

セミナーや後半の考察で

触れてみたいと思います。

 

【結論】

利益率が上がらなければ

いったん生産を減らして

販売や戦略に労働力を費やす

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都市農業ビジネス考察5『稼げない理由③自分のこだわりのものを作っている』

理由3 自分のこだわりのものを作っている

今回で稼げない理由の3つ目です。

  

今回も前提として

・農家さんへの批判が目的ではありません

・強調するために少し失礼な言い方かもしれません

・すべての農家さんに当てはまるわけではありません

どうぞご了承ください。

 

3番目の理由ですが、それは

『自分のこだわりものを作っている』

です。

 

「こだわったものをつくっています」

というと

 

一見、良さそうな気がしますが

いったいどこに課題があるのでしょうか。

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例えば有機栽培で育てている生産者さんは

都市農業では意外に多く

農薬を使うにせよ、地方の大規模農家に比べ

農薬の量はかなり少ないところが多いです。

こういった点を

生産者のこだわりとして、よく聞きます。

※便宜上、無農薬、有機肥料

栽培する方法を有機栽培という表現にします。

 

また都市農業で有機栽培が多い背景として

・宅地の近くに畑があり住民への配慮

・都市部の生活を嫌い新しいライフスタイルの標榜

・都市の畑にコミュニティ機能の発見

などがあります。

 

有機栽培で作った農作物自体は

とてもよいものができそうですが

残念ながら、消費者は有機栽培の農作物に

あまり価値を見出していません。

 

あるアンケートでは

農作物に求める要素として

新鮮さ、味、安さ、などが上位に来ており

有機栽培の野菜のニーズはあまりありません。

  

実際に全体の農作物に対して

有機栽培の農作物の占める割合は

1%も満たしていない状態です。

 

飲食店でも同様な状態です。

オーガニックのみを扱うお店は別ですが

一般的な飲食店の方々は

農薬不使用、有機肥料かどうかよりは

美味しいか、新鮮か、地元産か

色合いなど珍しい品種か、などを

重要視しています。

 

そんな消費者ニーズの状態で

有機栽培にこだわっているといっても

ほかの慣行栽培の野菜と同じ値段で

売られてしまうようになってしまいます。

※加えて、有機農法なども

身体に危険という説も増えてきており

さらに有機農法の価値さえも下がっています。

 

もちろん、農薬や化学肥料などを

使わないことに

越したことはないですし、

同じ値段で同じ品質ならば

こだわっている作物を使うと思いますが

価格にはあまり反映されないという現実を

受け止める必要があると思います。

 

このようなミスマッチが起こる原因は

有機栽培の農作物に関わらず

視点や情報量の違いがあります。

  

生産者は常に自分達の農作物に対しての

向き合っているため

野菜の質そのもののみに視点がいきがちです。

 

かたや消費者は

生活の中で料理前提の中での野菜をみます。

クックパッドなどのレシピの情報では

野菜の質に対しては言及されていません。

テレビや本でも栄養学の情報ばかりで

野菜それぞれが持つ個性や味を知ることは少ないです。

  

そういった野菜の性質を知らない消費者に

説明不足のまま、こだわりの野菜を売っても

正直、価値をあまり見出すことができません。

 

これらの課題の対策として

大まかには3パターンあるかと思います。

 

①自分のこだわりのものを買う顧客を探す

②顧客のニーズにあった作り方、見せ方、売り方にする

③自分のこだわりの野菜の魅力を伝えて続け知ってもらう

 

例えの続きで

有機栽培の農作物を引き続き売っていくならば

 

①全体のマーケットの1%程度しかいないが

その顧客を狙った、販売宣伝のアプローチをとる

有機栽培といっても

顧客によって有機栽培の価値は違うため

見せ方、伝え方を変えていく。

子供の安全、安心を求めている人と

美容や健康を求めている人では

伝え方を変えていく必要がる。

③顧客の知らなかった有機栽培の価値を

伝えていきながら、顧客の意識や考えを

変えていく教育的アプローチを行う。

こだわっているという抽象的な言葉ではなく

具体的に言語化、数値化する。

 

  

具体的なアプローチ方法に関しては

当日のセミナーなどで

お伝えできればと思います。

ざっくりですが、まずは考え方として

知っていただければ幸いです^^

 

【結論】

こだわることはいいが

それを客観的に踏まえた上で

顧客の対象やニーズと

合せていくアプローチが必要

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都市農業ビジネス考察4『稼げない理由②他者に販売をゆだねている』

前回の続きで稼げない理由の2つめを話します。

  

今回も前提として

・農家さんへの批判が目的ではありません

・強調するために少し失礼な言い方かもしれません

・すべての農家さんに当てはまるわけではありません

 

どうぞご了承ください。

  

2番目の理由ですが、それは

『他者に販売をゆだねている』

ことがあります。

 

考察1の農業ビジネスの特性でも

少し触れましたが

農作物は常に市場の影響を受けます。

どれだけ旬でおいしいものでも

市場に同じようなものが

溢れていると安くならざるを得ません。

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わかりやすい例としては

夏の野菜の果菜類

きゅうり、ナス、ズッキーニなど。

露地栽培の場合

温度や日照時間の関係で

短期間に成長します。

数日、収穫をしないだけで

味が落ち、商品にならない場合があります。

そのため、一度に大量に収穫を行い

早めに売り切らなければなりません。

 

ただし、大量にでてきてしまうのは

他の農家さんも一緒のこと。

市場には大量の果菜類の野菜が

低価格で販売されます。

 

旬のため味も品質もいい。

大量にとれる。

しかし、低価格なため

そこまで利益がでない。

 

という農家さんにとっては

苦しい現状があります。

 

ましてや

スーパーで並んでいる野菜は

地方の大規模農家で作られた

低コストで作られた野菜。

 

そんな安売り競争の中で

都市農業の野菜を販売しようと

すること自体

収益があがらないことは

目に見えています。

 

 

またスーパーによっては

地場野菜コーナーとして

販売してくれるところもありますが

価格は地方からの農作物の価格と

あまり変わらず販売をしており

やはり安売り競争に巻き込まれています。

 

要は、安売り競争に巻き込まれずに

いかに単価が高いまま

農作物を売っていくかを

考えていく必要があります。

売り切ることが大事なのではなく

利益率が高いものを売ることが

都市農業においては

大事になっていきます。

 

都市農業は地方の大規模農家に比べ

規模の効率化をはかることができません。

都市農業で稼ぐためには

競争に巻き込まれずに

単価を高い状態で売るやり方を

模索し続けなければなりません。

 

もしくは薄利多売の覚悟で

ブラック企業並みの労働を行うか。

この場合、お金が手元に残るとしても

「骨折り損のくたびれ儲け」状態で

長期にわたって続けていくことは

不可能だと思います。

 

こんな話をすると

農家さんから

「そんなことは分かっている。

それができないから大変なんだ!」

とお叱りを受けそうな気もします(汗)

 

それも覚悟のうえで話を続けます。

私の役割はあくまで

客観的な事実を使いながら

現状と打開策を伝えていくことです。

 

ではどうすればいいか。

今回、登壇される西田さんの例をとってみましょう。

 

西田さんの場合は

野菜セットとして販売をしています。

詳しくは西田さんの農園「風来」の

ホームページをみるとよく分かります。

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この野菜セット販売のメリットとして

 

①セットや解説することで付加価値がつき

市場より高い単価で農作物が売れる

②直接販売をすることで

販売手数料や仲介料などのマージンがなくなる。

③注文してからの発送となるので

廃棄ロスが減り、出荷計画が立てやすい。

④信用やブランディングができれば

継続して高い単価で買っていただき

経営が安定し始める

 

などがあります。

 

こういった形で

人に委ねるのではなく

農家自らが販売する力を

持つことができるようになると

利益率が大幅に改善し

狭い土地でも収益性が生まれてきます。

 

もちろん、ここまで到達するのには

細かな戦略や下積みが必要ですが

目的をもってさえすれば

都市農業でも再現可能だと思います。

 

 【結論】

都市農業においては

安売り競争に巻き込まれずに

単価を高くして利益率の高い

ビジネスモデルを模索する必要がある。

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都市農業ビジネス考察3『稼げない理由①労働コストを数字として意識していない』

前回までは都市農業を含めた
ビジネスモデルや環境要因をお伝えしました。
 
今回は内的な要因である
経営視点でも話していきたいと思います。
 
今回から
「都市農業で儲からない5つの理由」と
ちょっとトゲがあるタイトルですが
ひとつずつ話してみますね。
 
ただ前提として、批判したいわけではなく
強調したいために少し失礼な言い方を
させていただきます。
どうぞご容赦くださいませm(_ _)m
 
まず1つ目ですが
「労働コストを数字として意識していない」
ということがあります。
 
これは要するに
自分の時給がいくらで
何時間労働をしようかと
意識していないということです。

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家族経営的な農業をやる場合
一般的な会社とは違い、定時出勤退社といった
決められた時間で行動することは少なく
日が昇り沈むまでという感覚に近く 
給与は完全成果主義になります。
  
完全成果主義のため
サラリーマンのように
時間で労働する必要がありません。
ある意味で楽かもしれませんが
農の活動に生産性がなければ
収益は当然ありません。
 
都市農業をビジネスとして
すすめていくならば
目標の時給と労働時間を決めて
労働生産性を高める必要があります。
  
ここで大事なのは
数値化するだけでなく
目標設定した数字と現実を比較して
日々の活動の判断や改善をすることです。
 
まず目標とする時給を算出してみてみましょう。


① 年間の目標売上と利益(年収)を決めます
② 一年で働く労働時間を決めます
③ ①で出たお給料÷②の労働時間

になります。


例えば
①売上600万、年収300万
②残業なしの一般サラリーマンと同様の場合
8時間×20日×12か月=1920時間
③300万÷1920時間≒1500円/時
 
になります。
時給だけ見ると、そこまで悪くない感じがしますね。
ただ実際に農業するにあたって
日々の農作業や活動が
1500円の時給を払えるほどの
生産性があるかとなると
都市農業では
ほとんどできていないのが現状です。
実際は、時給は半分以下ぐらいでしょう。
  
農家さんから見れば
「そんなことは分かっている。
数字の計算は机上の空論でしかない」
 
と思うかもしれません。
 
しかし、大事なのはここからです。
あくまでこれは目標であって
この目標の達成のために
どう判断して動くかが大事になってきます。
それができてビジネスとしての農業に変わります。
 
いわば時給1500円になるための
選択をするようになるのです。
ただ目標として決めるだけならば
「とらぬ狸の皮算用」になってしまいます。
  
例えば
草取りという作業をやる場合
時給1500円の仕事にあたるのか
という問いかけができます。
 
極端ですが
鎌一本持って草を刈った場合
計算するまでもなく
1500円以下の生産性であることは分かります。
つまり鎌で草取りするという選択肢が無くなります。
 
であれば別の選択肢として
・草刈り機を買って刈るのか
・誰かにやってもらうのか
・除草剤をまくのか
・防草シートを張るのか
・ある程度まで放置するのか
 
などが湧いてきます。
 
選択肢が出たならば
それぞれの場合にかかるコストを出します。
(放置の場合はコストだけでなくリスクも)
少なくてもコストが時給1500円以下ならば
もしくは
自分で鎌を使って刈るコストより低い場合
それらの選択肢を選ぶ可能性がでてきます。
 
もちろん、手持ちのお金が不足して
すぐに上記のような
選択肢ができないかもしれません。
しかし
このままでは、効率の悪いままで収益性があがらず
悪循環になってしまうことも目に見えます。
 
そのため
少しずつでもお金を工面しながら
時給以下の農作業を
自分がやらないという状態にしていきます。
短期的に見れば、利益があがらずとも
長期的にみれば、収益性があがる仕組みとなります。
 
今回は鎌で草取りという極端な例でしたが
それ以外の分かりやすい例として
注文から納品までの事務処理があります。
未だに複写の手書きでやっている所が多いですが
PCソフトやスマホのアプリを使って
一貫して自動出力できる場合もありますし
エクセルの表計算を使うだけでも
慣れてしまえば、手書きよりもはるかに
労働時間の短縮、コスト減になります。
私もいくつかの農家さんで
簡単な伝票や表計算をつくっただけでも
とても感謝されたことがあります^^
 
以上で
都市農業で儲からない5つの理由
の一つめの話を終わります。
 
さらに詳しく知りたい方は
杉山経昌さんの
『農!黄金のスモールビジネス』
という本がおすすめです^^
 
杉山さんは50歳から脱サラして
新規就農を行い、週休4日ながら
時給3000円の生産性で働いてます。
 
この杉山さんと西田さんは
都市農業で稼ぐ方法のヒントをくれてます^^

 

【結論】
目標の時給を導き出すこと。
その時給に基づき業務の選別を行い
収益性のあがる仕組みを組み立てていく。

**********
 
3月3日のセミナーでは
もう少し具体的に掘り下げてみます。
資金繰りの考え方にも触れてみますね。

次回は2つめの理由です!

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都市農業ビジネス考察2『都市農業と地方の大規模農業の大きな違い』

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前回は農業の特性をビジネスの観点から話しました。
 
今回はセミナーでお話しする
都市農業についてさらに絞っていきます。
(ここでの都市農業は東京都に絞って話を。
別の都市だと、また特性が違ってきます。)
 
農業の業界を調べていくうちに
地方の大規模農業と都市の農業には
大きな違いがあることが分かってきました。
 
まず日本全国の農業の経営規模を見てみます。
農水省の「平成29年度 食料・農業・農村白書」から。
 
日本の農家の年齢構造として
若手農家1割、非若手農家9割。
(※若手農家の定義は、49歳以下)
 
その若手農家の売上額の規模をみると
300万未満24.6%
300-1000万円30.2%
1000-3000万円:31.9% 
3000-5000万円:7.9%
5000万-1億円:4.1%
1億円以上:1.3%
となっていました。
 
農家さんといっても
兼業や専業、趣味程度の人
家族経営、法人経営など幅広くいます。
ここでは農業ビジネスモデルについての
考察なので売上の多い
専業農家さんを焦点に話していきます。
 
次に1人当たりの所得。
「個別経営の経営形態別経営統計」
によると(平成29年)

広い農地を持つ

専業農家だけでいうと
500~600万前半ぐらいで
多い所では農業者一人当たり
1000万円を超えるところも。
 
また農業白書によれば
1経営体当たりの農業所得は
直近5年間で最高を記録とのこと。
 
巷ではよく
「農業が今、アツイ!」
とか言われていますが
実際に農業で稼いでいる人は
増えてきているんですね。
 
収益があがった理由として
農地の集約化、技術革新による
徹底した合理化による収益化向上。
海外へ輸出額が増えたこと。
などがあるようです。
  
次に東京都における
農業の売上規模を見てみます。
東京都がだしている
「平成29年度 東京農業振興プラン」
の資料を見てみます。
 
・・・
あれ?
 
まず資料を見てみると
東京の農家の売上規模の資料が見つかりませんでした。
(農業系法人の売上モデルが5000万円と記載あるのみ)
 
目的が違うからか、もしくは
見つけられていないだけかもしれないので
それはいいんですが
東京都の目標とする
農業経営モデルを見てびっくり。
 
家族経営では3つのパターンがあり
所得1000万円、600万円、300万円に
分かれていました。
所得が1000万円の中身を見ると
いくつか経営方法があり
さらに中身を見ていくと
労働者の数が3~7人を想定。
 
ということは一人当たりの平均所得は
最高でも333万円となります。
この所得1000万円の農家の場合
東京農業をリードする専業的な経営モデルとのこと。
1人当たりの所得でみれば
専業農家の全国平均所得の半分。
稼いでいる農家さんの3分の1以下です。
 
・・・
 
ここで分かるのは
地方の大規模農業と
都市農業のビジネスモデルは
まったく違うということです。
そもそもビジネスモデルとして
成り立つのかという疑問が湧きますが・・
これだと普通のサラリーマンを
やったほうがいいってなっちゃいます・・
 
都市農業で稼ぐためには
また地方の大規模農業とは
まったく別のやり方を
考察する必要がありそうです。
 
その点については
またコラムの後半にでも触れますが
まずは
都市農業と
地方の大規模農業とは
まず何が違うのかを
明確にしなければなりません。
 
私が思うに、少なくとも3つあります。
 
1:農地が狭く、スケールメリットが活かせない
 
ご察しだと思いますが
収益を出している地方の大規模農業は
広いまとまった農地を使い
生産の効率化を行っています。
広いほどスケールメリットが活きてきます。
 
スケールメリットを活かすには
田んぼでは30ha(30町)
畑では10ha(10町)
以上ないと人的コストを
効率化できないみたいです。
 
地方の若手農家であれば
10ha以上畑を持つ割合は
70%を超えます。
 
しかし東京都の農家はだいたい
0.5ha(5000㎡、5反)
ぐらいで大きなところでも
畑は5haもありません。
 
さらに都市部の農地は
場所がバラバラに点在していて
移動や手間のコストがかります。
 
またITとの相性もあまりよくない。
事務処理としてのITは必要でも
生産方法におけるITは
小規模な面積のため
一部の農作物を除き割に合わなくなります。
 
耕地面積の違いが
都市と地方の最大の違いとなります。
 
2:都市の農地に多様な目的や機能があり制約がある
 
平成27年に
都市農業振興基本法という法律ができました。
この法律の目的は
「都市農業の多様な機能の発揮」
らしく
農作物を生産するだけでなく
 
防災機能、環境や生態系の保全
自然の景観の維持
コミュニティの場
食育、文化教育の場
 
の目的があり、
都市農地は収益性以上に
公共性を求められています。
 
また都市の土地の値段は
地方に比べてはるかに高額です。
しかし都市農地には
公共性が求められているために
農地だと固定資産税や相続税
かなり安くなります。
生産緑地法
 
ただし、それと同時に農地に対して
制約がでてきます。
法律の詳細については複雑なので
また別の機会でお伝えしますが
農地の売買、貸借
相続などの制約があります。
 
もちろん、ニーズに合わせながら
法律も変化しています。
(円滑化法)
しかし人に貸すことの不安が強く
農地を拡大していける状態でありません。
 
そしてさらに
地域住民からの臭い、騒音、虫などのクレーム
昔からの農家と新規就農者の考えのズレ
農地に関わる市民団体との関わりなど。
区画整理事業での行政との折衝
 
など地方ではあまりにない
利害関係者との問題があり
生産に特化した農業には限界があります。
 
3:人口の数が大きく違う
 
そりゃそうですね^^
これは都市農業においてはメリットです。
一般的には消費者が多いという理由ですが
別の観点からみたら
もう一つのメリットがあります。
ただ、この特性を活かしている農家さんは
少ないのかなと思います。
 
人口が多いという特性は、
また後半のコラムにて^^
 
*******
 
以上が都市農業と
大規模な地方の農業と違いでした。
 
今回もネガティブな情報が
多かった印象かもしれません・・
ただニーズと課題を明確にすることで
新しい形の都市農業のビジネスモデルが
生まれると思います。
今回、講師としてお呼びする
西田さんのやり方に
そのヒントが隠れています^^
 
【結論】
都市農業は
一般的な農業のビジネスモデルとは違う。
都市農業は別の新しいビジネスモデルを構築する必要がある。
都市の多様なニーズをどう活かすか。
 
今回は環境的な要因でしたが
次回は内的な要因からみてみます。
題して
『都市農業で儲からない5つの理由』
として1つずつ話していきます。
 
今回もお読みいただき、ありがとうございました!

都市農業ビジネス考察1『農業のビジネス特性を知る』

来る3月3日の国立市

「本気で稼ぐ都市農業」と題して

ワークショップ(セミナー?)をやる予定になりました!^^

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登壇者に30aで1200万円稼いだ

西田栄喜さんをお呼びして

都市農業でも稼げることを

証明していきたいと考えています。

そして

西田さんだけでなく

恐縮ですが私も2時間話そうと思います(汗)

みなさんから

お前誰だよ!感が伝わってきますが

今までの経理職について

10年以上やってきたことや

農家の事業の会計を手伝ってきたことを踏まえて

数字の観点から話していきます。

 

そういうわけで登壇の前に

いろいろと考察をしたことを

書いてきます。

 

ながーいですので

興味あるところだけでもお読みください^^

でも

都市農業ビジネスにとって

すごいいいこと書いてます(笑)

   
当日、参加できない方も
これを読むだけでかなり考えが
変わるのではと勝手に思っております^^
 
では最初の話題は
都市農業だけにかかわらず
農業ビジネスの特性について
持論ですがお話をさせていただきます。
 
********
 
私が思うに農業ビジネスは
経営的(数字)な観点から見ると
儲けるにはかなり難易度が高いと感じています。
 
近年では
農地法などの改正により民間の企業が
農業に参入していますが
8割以上が利益を出せなかったり
撤退という現状になっています。
大企業で資本があるにも関わらず、です。
その理由として
農業生産の技術不足がよく挙げられますが
それ以前として
ビジネスの構造としての難しさがあります。
 
他の業界と比べながら、農業ビジネスの特性を
いくつか見てみましょう。
 
特性1 天候の影響が大きすぎる
 
天気、気候、天変地異による変化です。
ほとんどの農業が
外で育てる露地栽培になっていますので
常に多くの変化にさらされてしまいます。
 
天変地異でなくても
雨が何日も続く場合(逆に降らない場合も)
気温がずっと熱い場合(逆に低い場合も)
だけでも収穫量や収穫時期も
大きく変化してしまいます。
 
それに比べて製造業では
気候の変化をあまり受けず
工場や室内で作るので
電気や部品の供給がストップする大災害
でもない限り、生産に支障はあまりありません。
サービス業も人さえ揃えば実行できるので
農業に比べはるかに変動リスクが少ないです。
 
ビジネスとして考えるのならば
ビニールハウスや野菜工場といった
気候にあまり左右されない仕組みを
作るべきですが
初期投資がバカ高いため
資本力が少ない家族経営レベルでは
なかなか手がだしづらいのが現状です。
 
そして変化が大きいということは
一般の企業で作成する事業計画は
非常にたてづらく
常に変更を求められてしまいます。
その為
事業計画がそもそも変化するという前提にたち
迅速に事業計画が変更する能力を求められます。
  
特性2 生産から消費までのタイムラグが長い
 
サービス業であれば、
サービスの発生から提供、支払いまで
ほぼ同時に行われますが
 
農業の場合、生産しようとしても
早くても葉物が2か月後できるぐらいで
かなり時間がかかってしまいます。
半年~1年間ぐらいかかってしまうこともざらです。
果樹栽培を一から始める場合などは何年もかかることも。
  
農業のように生産から消費までの
タイムラグが長い業界は
大規模な製造業以外、あまりありません。
 
では、タイムラグが長いことで何が問題になるか。
 
①市場の変化、顧客のニーズの変化に対応できない。
 
ユニクロのようなファストファッションでは
顧客のニーズを知って製品化まで
わずかな時間で行い
リスク減らし、収益性を高めるのに成功しました。
農業だと、このやり方はかなり難しいものがあります。
一部、野菜の卸業者がユニクロみたいにやってますが
生産者側やるのは、ほぼ不可能です。
 
去年、売れ行きのよかった農作物を
今年また作ろうと思っても
既にニーズが変化している可能性もあり
直前に気づいても変更できません。
 
ましてや他の農家さんも同じことを考えて
同じものを作っていれば
供給量が過多になってしまい
値崩れを起こしてしまうリスクさえあります。
当然、これも途中で気づいても変更できません。
 
タイムラグが長いことで
需要と供給の調整が難しく
大量に作ると廃棄するリスクも増えます。
 
②資金繰りが難しい
 
中小企業で大変なのが資金繰り。
農業においてはさらに難易度が増します。
 
新規就農をした場合は
最初に収益が入ってくるのは
種をまいて半年後になってしまうわけで
それまでは収入がゼロです。
始めるには相当な余裕資金がないと
ジリ貧の状態になってしまいます。
 
そしてさきほど話したように
安定した収入が入ってくるわけではないので
(契約栽培や前払い制は別)
精神的な不安も大きくなります。
 
そのため、もし新規就農する場合は
少なくても運用資金は生活費半年分の資金。
もしくは兼業スタイルで進めていくことが必要です。
 
初期投資分の資金も考えると
さらに多くの資本が必要となります。
かなりの準備期間を要し
初期投資の回収も3~5年かかると言われます。
 
ただこういった農業の難しさもあり
現状、45歳以下の新規就農者には
青年就農給付金が年間150万円で、5年間でます。
それまでに安定収益を目指すことになります。
 
特性3 保存期間が短く、在庫がもてない
 
製造業では、製造時にすぐに売れなくても
在庫扱いとして保存して
タイミングに合わせて売ることは可能です。
 
ですが
農作物の場合、一部を除き
商品としての期間が1週間以下で短く
時間経過の劣化が激しいです。
 
それらを回避するために
長持ちする農作物の栽培や
加工品としての処理が
必要になりますが、制約が多く
なかなか取り組むのが難しいものとなります。
そのため農業ビジネスにおいて
生産と同時にすぐに売り切れる仕組みが求められます。
 
特性4 商品の単価が全体的に低い
 
特性1~3からでもわかるように
農業ビジネスの構造上
単価を上げることがかなり難しいです。
(希少性の高いものや果物以外)
  
結果、薄利多売になりがちで
利益が少ない分、人件費をいかに削減し
徹底した効率化が求められます。
この場合は
大規模な機械化か
労働作業の集約化
  
のどちらかが考えられますが
これもまたいろんな制約があります。
 
また単価をあげるためには
野菜の加工
セット販売
野菜のブランディング
などの戦略的アプローチが求められますが
ほとんど農家さんができていません。
 
特性5 繁忙期と閑散期の差が大きく、安定した雇用が難しい
 
農業は季節に応じて生産をするため
忙しい時期とそうでない時期の差が激しいです。
春野菜、夏野菜、秋野菜、冬野菜と
それぞれのピークがあり
その間の期間を端境期(はざかいき)と呼んでいて
野菜の量がガクッと減ります。
特に冬の1、2月は
ビニールハウス栽培以外
かなり収穫量が減ります。
 
そういった背景から
農家が忙しい時期には人はたくさん必要ですが
そうでない時期は農家本人さえも
やることが、かなり減ります。
 
その昔、農家さんの呼び名として
百姓という名称がありました。
百姓は農業の仕事を以外も行っていたことから
その呼び名になったようです(諸説あり)。
当時の百姓は、冬の時期は別の仕事を
行いながら生計を立てていました。
いまでいう兼業農家に似ていますね。
 
つまり農業はある一定期間
労働力が必要ではない時があるため
継続的して人を雇用することが難しいという特性があります。
農家のほとんどが家族経営なのは
雇用関係を結ばず、融通が利くからですね。
 
もし安定した正社員の雇用をしたいならば
生産量が増える時期をがんばって
生産の少ない月の分の利益も穴埋めしなければいけません。
   
もし法人として雇って事業を行うならば
かなりの経営力が必要となりそうです。
 

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以上が、私が思う
農業ビジネスの特性となります。
 
しょっぱなから、話が長くなってしまいました(苦笑)
 
正直、農業をビジネスとして
難しいイメージしか湧かなかったかもしれません。
しかし、まずは
農業ビジネスの特性(難しさ)を知ることでしか
解決策を見いだせないと思ったので
あえてつつみ隠さずに書いてみました。
 
話の後半になるにつれ、いろんな解決のヒントを
だせると思いますので
どうぞ諦めず、読んでいただきたいです(笑)
 
今回の話は以上です!
次回は、さらに深堀りをして
「都市」の農業ビジネスの特性について話してみたいと思います。
 
長文を読んでいただき、誠にありがとうございます!!