都市農業ビジネス考察3『稼げない理由①労働コストを数字として意識していない』

前回までは都市農業を含めた
ビジネスモデルや環境要因をお伝えしました。
 
今回は内的な要因である
経営視点でも話していきたいと思います。
 
今回から
「都市農業で儲からない5つの理由」と
ちょっとトゲがあるタイトルですが
ひとつずつ話してみますね。
 
ただ前提として、批判したいわけではなく
強調したいために少し失礼な言い方を
させていただきます。
どうぞご容赦くださいませm(_ _)m
 
まず1つ目ですが
「労働コストを数字として意識していない」
ということがあります。
 
これは要するに
自分の時給がいくらで
何時間労働をしようかと
意識していないということです。

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家族経営的な農業をやる場合
一般的な会社とは違い、定時出勤退社といった
決められた時間で行動することは少なく
日が昇り沈むまでという感覚に近く 
給与は完全成果主義になります。
  
完全成果主義のため
サラリーマンのように
時間で労働する必要がありません。
ある意味で楽かもしれませんが
農の活動に生産性がなければ
収益は当然ありません。
 
都市農業をビジネスとして
すすめていくならば
目標の時給と労働時間を決めて
労働生産性を高める必要があります。
  
ここで大事なのは
数値化するだけでなく
目標設定した数字と現実を比較して
日々の活動の判断や改善をすることです。
 
まず目標とする時給を算出してみてみましょう。


① 年間の目標売上と利益(年収)を決めます
② 一年で働く労働時間を決めます
③ ①で出たお給料÷②の労働時間

になります。


例えば
①売上600万、年収300万
②残業なしの一般サラリーマンと同様の場合
8時間×20日×12か月=1920時間
③300万÷1920時間≒1500円/時
 
になります。
時給だけ見ると、そこまで悪くない感じがしますね。
ただ実際に農業するにあたって
日々の農作業や活動が
1500円の時給を払えるほどの
生産性があるかとなると
都市農業では
ほとんどできていないのが現状です。
実際は、時給は半分以下ぐらいでしょう。
  
農家さんから見れば
「そんなことは分かっている。
数字の計算は机上の空論でしかない」
 
と思うかもしれません。
 
しかし、大事なのはここからです。
あくまでこれは目標であって
この目標の達成のために
どう判断して動くかが大事になってきます。
それができてビジネスとしての農業に変わります。
 
いわば時給1500円になるための
選択をするようになるのです。
ただ目標として決めるだけならば
「とらぬ狸の皮算用」になってしまいます。
  
例えば
草取りという作業をやる場合
時給1500円の仕事にあたるのか
という問いかけができます。
 
極端ですが
鎌一本持って草を刈った場合
計算するまでもなく
1500円以下の生産性であることは分かります。
つまり鎌で草取りするという選択肢が無くなります。
 
であれば別の選択肢として
・草刈り機を買って刈るのか
・誰かにやってもらうのか
・除草剤をまくのか
・防草シートを張るのか
・ある程度まで放置するのか
 
などが湧いてきます。
 
選択肢が出たならば
それぞれの場合にかかるコストを出します。
(放置の場合はコストだけでなくリスクも)
少なくてもコストが時給1500円以下ならば
もしくは
自分で鎌を使って刈るコストより低い場合
それらの選択肢を選ぶ可能性がでてきます。
 
もちろん、手持ちのお金が不足して
すぐに上記のような
選択肢ができないかもしれません。
しかし
このままでは、効率の悪いままで収益性があがらず
悪循環になってしまうことも目に見えます。
 
そのため
少しずつでもお金を工面しながら
時給以下の農作業を
自分がやらないという状態にしていきます。
短期的に見れば、利益があがらずとも
長期的にみれば、収益性があがる仕組みとなります。
 
今回は鎌で草取りという極端な例でしたが
それ以外の分かりやすい例として
注文から納品までの事務処理があります。
未だに複写の手書きでやっている所が多いですが
PCソフトやスマホのアプリを使って
一貫して自動出力できる場合もありますし
エクセルの表計算を使うだけでも
慣れてしまえば、手書きよりもはるかに
労働時間の短縮、コスト減になります。
私もいくつかの農家さんで
簡単な伝票や表計算をつくっただけでも
とても感謝されたことがあります^^
 
以上で
都市農業で儲からない5つの理由
の一つめの話を終わります。
 
さらに詳しく知りたい方は
杉山経昌さんの
『農!黄金のスモールビジネス』
という本がおすすめです^^
 
杉山さんは50歳から脱サラして
新規就農を行い、週休4日ながら
時給3000円の生産性で働いてます。
 
この杉山さんと西田さんは
都市農業で稼ぐ方法のヒントをくれてます^^

 

【結論】
目標の時給を導き出すこと。
その時給に基づき業務の選別を行い
収益性のあがる仕組みを組み立てていく。

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3月3日のセミナーでは
もう少し具体的に掘り下げてみます。
資金繰りの考え方にも触れてみますね。

次回は2つめの理由です!

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